日本の職人技
日本人は手先が器用だとよく言われます。
折り紙一つ取っても、数学的な計算から編み出す、緻密で複雑な形の世界に魅了される海外の愛好家も少なくないようです。
江戸時代に遡ると、からくり人形や万年時計などは、産業文明で先を行く欧米人をしばしば驚かせてきました。
同時に、欧米の先んじた産業技術を吸収すべく、例えば反射望遠鏡や蒸気機関車の模型などを、短期間にそのオリジナルを凌駕してしまうほどの出来栄えで作ってしまいました。
日本人の旺盛な好奇心や探求心、勤勉さ、手先の器用さといった気質が垣間見えますね。
その気質が戦後日本をうなぎ上りの高度経済成長へと押し上げていったと言っても過言ではありません。
しかし現代の日本では、特に伝統工芸品に関わる匠の技を持つ職人の数が、先細りの傾向にあります。
その存在は、職人技に魅せられた海外の人たちに見出されることもあります。
海外からの弟子入りによって後継者を得る技術もあるほどです。
また近年、伝統の技術を守りながら、色や形の種類を豊富に揃えて海外に進出し受け入れられたことにより、国内での需要も劇的に増加した南部鉄器の鉄瓶のような成功例もあります。
日本の職人技は、伝統工芸品のように暮らしを豊かに彩るものばかりではありません。
かつて日本で隆盛を誇った電気機器や自動車産業分野で、製品の陰の立役者として欠かすことのできない、金属部品を加工する職人技などです。
大手製造会社が売る製品が表立ってもてはやされていた時代から、ごく些細な部品の精度に磨きをかけてきた、職人の熱意や存在は殆ど知られていませんでした。
時代が変わり、箱ものでは日本だけの特長を打ち出すのが難しくなったことで、この裏方の大きな存在に気付かされることになりました。
脈々と受け継がれてきたものづくり日本の職人技を、国内外に限らず育てていくことが経済や産業の活性化に一役買いそうです。
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